すっかり減った早朝出勤。
残念ながらこの日のこの青空は仕事が終わるまで続かなかった。

小さな頃から乗り物には強いのだが、一度、東横線の混雑と過剰空調にやられて体調を崩したことがあったらしい。
そのせいで、一時期、親に連れられて都内へ向かうのに蒲田〜目蒲線〜目黒〜山手線というルートを使っていた。
目蒲線は京浜東北線や横須賀線と並んで、僕の中での"でんしゃ"像を形成した路線だったと思う。
3両編成の緑色の電車は、動き出すときに床下からゴォーっと唸る音がした。
それが、「ツリカケ」として多くの鉄道ファンから愛される音だと知るのは、ずっと後のことだ。

やがて、「オールステンレス元年」の華やかなポスターとともに旧型車が駆逐され、山手線より高い場所にあった目黒駅を含め、目蒲線の線路は次第に地下へ潜ってゆき、ついには路線自体が分断されることになる。
しかし幸か不幸か「取り残された」感の否めない多摩川線区間は、かつての目蒲線の雰囲気を色濃く残している。
一度は4両編成になった電車も再び3両に戻され、その後投入された新型車両は、東急のステンレスカーでは異例となるグリーン系のカラーリングで登場した。

この形のベンチこそがまさに「目蒲線の駅」と思わせるもの。

もちろん真夏ではなかったけど、かつてこの道路を横浜駅東口から五反田駅まで歩いたことがある。
まさに若気の至りというやつだった。
とにかく距離を稼げというのがいかにも中学生らしいところで、脇目もふらず写真も撮らずひたすら歩いた。

青い高架は都営地下鉄浅草線の終端部分で、右側の画面外に車止めがある。
第二京浜に並行して地上を走る鉄道は無い筈なので、大森からのバスをこの交差点で降りたときは驚いてしまった。
川崎方面への延長計画を思わせる立派な高架だが、夢や妄想はともかく具体的な話は無いそうだ。

自動車交通路としては大幹線でも、沿線にはこれといった公共施設・商業施設が見当たらず、十数年前、少年が必死で先を急いでいた理由の半分以上は、トイレ探しであった。